心理学では、これらのネガティブな思い込みを「制限的信念」や「認知の歪み」と呼びます。これらは、過去の経験から脳に蓄積された「古いデータ」にすぎません。しかし、この思い込みが強すぎると、本来の能力が発揮できなくなったり、人間関係で勝手に傷ついてしまったりと、人生のあらゆる場面でブレーキをかけてしまいます。
「思い込みが激しくて、いつも一人で悩んでしまう」 「一度ネガティブに思い込むと、なかなか抜け出せない」
そんな自分を変えたいと思っているあなたへ。人生をより軽やかにするためには、脳にこびりついた思い込みという古いデータを、今のあなたに最適な形へ書き換える作業が必要です。
今回は、今日から一人で実践できる、心理学に基づいた「思い込みを外す3つのセルフワーク」をご紹介します。
1. 事実と感情の「仕分け」ワーク
私たちは、起きた出来事(事実)と、自分の主観(解釈)を混ぜてしまいがちです。これらを物理的に切り分けることで、冷静な視点を取り戻します。
実践ステップ
Step 1:悩みを書き出す
例:「上司に挨拶したのに無視された」
Step 2:「事実」だけを抜き出す
カメラに映る映像だけを言葉にします。
例:「私は挨拶をした。上司は声を出さなかった」
Step 3:「思い込み」を書き出す
自分の頭の中にある解釈をすべて出します。
例:「嫌われている」「私は価値がない」「何か怒らせたかも」
Step 4:別の可能性を3つ考える
事実に紐づく「別の理由」を強制的にひねり出します。
例:「考え事をしていた」「イヤホンをしていた」「体調が悪かった」
ポイント: 「事実」は変えられませんが、「解釈」はいくらでも作り直すことができます。
2. コラム法(思考記録表)
認知行動療法(CBT)で最もスタンダードとされる、エビデンスに基づいた手法です。
表に記入する項目
状況: いつ、どこで、何があったか?
不快な感情: 今の気持ちを数値化する(例:悲しい 80%、不安 50%)
自動思考: その瞬間、頭にパッと浮かんだネガティブな考え。
反証: その考えは100%正しいか? 矛盾する証拠はないか?
適応的思考: 4を踏まえた「新しい合理的な考え方」。
変化: 最後に、感情の数値がどう変化したかを確認する。
客観的に自分の思考を「データ」として扱うことで、脳の過剰な反応を抑えることができます。
3. 「ダブル・スタンダード」の解除ワーク
私たちは、他人には優しいのに、自分に対してだけは非常に厳しい「二重基準(ダブル・スタンダード)」を持っていることが多いものです。
実践方法
問いかけ: 「もし、あなたの大切な親友が、自分と全く同じ状況で悩んでいたら、あなたは何と言葉をかけますか?」
実行: その温かい言葉を、鏡に映った自分、またはノートに書いた自分に向かってそのまま投げかけてあげてください。
なぜ効くのか:
他人のことになると、脳は客観的で慈悲深い視点を持ちやすくなります。視点を切り替えることで、自分を縛っていた頑固な思い込みが外れやすくなるのです。
【プチ習慣】言葉ひとつで「思考」と距離を置く
ワークをする時間が取れない時でも、日常の言葉を少し変えるだけで効果があります。
それは、自分の考えの語尾に「〜という思い込みを持っている」と付け足すことです。
× 「私はダメな人間だ」
○ 「私は、自分をダメな人間だという思い込みを持っている」
これだけで、思考と自分自身を切り離す(脱フュージョン)ことができ、ネガティブな感情に飲み込まれにくくなります。
最後に:あなたの「モヤモヤ」を整理してみませんか?
思い込みを外す第一歩は、まず「書くこと」から始まります。
最近感じた「一番モヤモヤした出来事」を一つ選んで、まずは「1. 事実と感情の仕分け」から始めてみましょう。

0 件のコメント:
コメントを投稿